弁護士さんの「声」

※ twitterに投稿された弁護士さんのツイートの許転許可を頂き掲載いたします。
協力してくださった弁護士さん、本当にありがとうございます。

 1、 共同親権制度 と 虚偽DV、連れ去り、片親疎外症候群 について 
ー 共同親権制度は、DVを隠蔽する目的がない人々にとっては必要のない制度である ー 「DVも、虚偽DVもダメ」「DV事案については、ちゃんと対応する必要があるけど、共同親権制度が必要な事案もあるよね」一見正論に見えるこの意見だが、現状を踏まえるとそう思えない。 これまで担当してきた事件の経験から言うと、虚偽DVであると主張する人ほど、DVの加害者性が強いことが多い。   DV事件を被害者側で受任していると分かるが、現実には『共同親権論』『フレンドリーペアレントルール』『片親疎外症候群』などの主張をする人はとても少ない。 それはなぜか? 共同養育できるような両親であれば、現在の日本の法制度に、共同養育を阻害するものはないからである。自身も事実婚のため単独親権で共同養育中であるが、実際何も困ることはない。
共同養育できない関係性の両親であるから、面会交流が制限されているのであり、『共同親権制度』になれば解決するという論理は大変危険である。
  裁判所では、数年前には面会交流の原則実施論が取られていると言われるほど、面会交流に積極的だった。 性虐待の事案ですら間接交流を勧められるなど、面会交流宗教にとりつかれているのではないかと思う程、この国の司法は余程のことがない限り面会交流は拒否できない。  調停や裁判の現場で『共同親権論』や『フレンドリーペアレントルール』を主張する人は必ず『虚偽DV論』を持ち出す。 こういった一連の主張をする必要のある人は、『保護命令が出されている』『判決でDV、虐待が認定された』『審判で面会交流が制限されている』人である。 こうと書くと、偏っていると思われるかもしれないが、現実にそうなのだ。
  現在の日本では共同養育が可能な親であれば、それを妨げる制度などなく、余程のことがない限り、こうした一連の主張は必要がない。
  現実に何が起こっているかといえば、裁判所により面会交流が制限されている人が、『共同親権論』を持ち出して学校行事に押しかけることを正当化し、『フレンドリーペアレントルール』を持ち出して、ひと月の半分の宿泊面会を認めるまで何回でも調停を申し立て、子が拒絶すると、「あぁ『片親疎外症候群』始まってますね」と言って、拒否の原因を元配偶者に責任転嫁するのである。
  DVの構造は、自分が絶対に正しいと考えている人が押し付けてくる上下関係に他ならない。自分が絶対に正しいというDV傾向が強い人ほど、自分の加害傾向と向き合うことができず、虚偽DV論と一体化した『共同親権論』や『片親疎外論』で自分を正当化していく。
  現在の日本で、共同親権推進論は虚偽DVの主張と表裏であり、共同親権推進論を主張すること自体が、DVの隠蔽に加担していることになってしまう。
  共同親権制度は、DVを隠蔽する目的がない人々にとっては、必要のない制度である事を多くの人が知る必要がある。
2020/11/9

2、 DV事件はビジネスになるのか? ー 加害者と手を繋ぐことができないのは 被害者のわがままではありません ー DV被害者の弁護につく事を、共同親権の推進論者が「ビジネス」と揶揄しますが、困難性が高いうえに業務妨害が多いこの事件類型を「ビジネス」だと揶揄すること自体、こういう嘘をついてまで共同親権をゴリ押ししてくるのかと恐怖しかありません。

 DV事件の被害者側の弁護士が共同親権の導入に反対するのは、圧倒的に弱い立場におかれた人たちに寄り添い、その苦労を間近で見ているからに他なりません。だからどうか1人でも多くの方に関心をもって聞いていただきたいのです。
 
■ DVによる避難と虚偽DV
 DV加害者が「否認・過小評価・責任転嫁」により自分を正当化することは、DVの特徴ですが、「共同親権推進論者」が主張する、「虚偽DVによる連れ去り」「片親疎外症候群」「フレンドリーペアレントルール」はいずれも、加害者を正当化し、その支配を継続させるための便利な道具です。
 
 母子家庭の8割以上が働いていても平均就労収入は年間181万円。子どもの貧困は女性の貧困とも言われる所以です。離婚というものに対する偏見も色濃く残っているこの国で、女性が子どもをつれて家を出る、まして夫に告げず生活費がもらえるという保証もないまま家を出ることの意味を考えたら分かります。
 「虚偽DVによる連れ去り」を社会問題化することは、DV地獄からの逃避すら許さないという意見表明にほかなりません。
 
 「DVもあるけど連れ去りもある」ではありません。実際にDVをしてきた人が、その同じ口で、「虚偽DVによる連れ去り」と言っているから問題であると、切実に訴えています。
 
 
■ DVによる避難と片親疎外症候群 次に、DV・虐待家庭で傷ついて後遺障害を発症している子どもや、加害親と会うことを拒む子どもを、「片親疎外症候群」であると決めつけることは、自らの行ってきた加害行為により生じた弱いものの傷や歪みを、監護親に責任転嫁する、加害者側の魔法の言葉です。DV家庭に育つ子どもが相反する感情や考え方を同時に心に抱いていることはあります。でも、それは、片親疎外だから生じているなんて短絡的な話じゃないし、DV地獄から避難した子どもたちの圧倒的多数は「離れてホッとした」という感想を持っています。
 
 そしてこれ。
「離婚後も子どものために共同養育しよう」など一年の半分にあたる期間の面会交流を求める調停や審判を繰り返す「フレンドリーペアレントルール」などという考えは「笑顔の加害者による終わりのないモラハラ支配」に他ならず、日本の母子家庭の多くが母子ともに確実に病んでいくでしょう。
 
■ 被害者や被害者家族、弁護士や裁判官にまで、訴訟を連発する人達 数年前から、誰が指南しているのか、DV被害者に対して、子の監護者指定・引渡しの審判、面会交流調停、夫婦円満調停、婚姻費用減額調停、連れ去りや面会妨害、支援措置を取ったことによる名誉毀損など理由とする地裁・簡裁での慰謝料請求を次々と量産するという人が現れるようになりました。被害者の実家の親に対する損害賠償金請求、被害者側弁護士に対する懲戒請求や慰謝料請求、裁判官に対する慰謝料請求をする人まで現れるようになりました。
 共同養育の名の下に、離婚後の配偶者の家の近所まで引っ越してきたり、面会交流時に自分の名字を子どもに名乗らせたりするのも特徴的でした。
 
 何なんだろう。違う人なのに、何でこんなに同じことをするんだろう。そして、この人たちは、何で口を揃えたように、共同親権制度じゃないから子どもとの面会が制限されていると言っているのだろう。そして、その人たちのブログには、子どもと頬を寄せ合った仲良し写真やパパ大好きだよなどと書かれたメッセージカートなどが掲載され、連れ去られたと悲劇のように書かれている。そして、そこには司法の悪口ばかり書かれているけど、じゃあ何でこんなに訴えを量産しているの?
 
 弁護士に対して繰り返される懲戒請求や地方裁判所での損害賠償請求。一つも負けたことないけど、自分のために弁護士を立てればそれは私の自腹です。これが、あの人たちが「ビジネス」と呼ぶ弁護士です。皆さん、どう思われるでしょうか…。
 申し立てが量産されても同じ主張ばかりの繰り返し。勝つ気ありませんよね?負けるとわかっている申し立てをして、家裁の批判がしたいだけ。ブログに書くことが目的になってしまっているとしか思えません。
 平成31年1月31日の支援措置に関する名古屋高等裁判所の判決を読んだ時は涙がでました。ここに書かれていることは、この人だけの特殊なことじゃない。 

 そんな時、何人かの相手方が教えてくれたのです。

 「先生は、言われているような人じゃないんですね。妻が出て行って、検索したら助けてくれる団体だっていうから何回か行ったんですがちょっと怖くてやめました。家裁は女性の味方だから、地方裁判所や簡易裁判所で損害賠償請求の裁判を起こすと良いと言われました」
 
 面会交流を義務づける訴訟について。子どもの立場の方も原告になっている。その気持ちは受け止めますが、そこに、他方当事者の弁明する機会はありません。 本来、対立する当事者がいるはずの事件なのに、一方的当事者のみの主張で裁判がすすみます。

 国の代理人をつとめる方がDV事件の場数を踏んでいるとは思えないので不安です。家裁と違ってDVに馴染みのない地裁での裁判というのも不安です。
 
 この不安は私だけの不安じゃない。弱くて発信力もなくてお金もなくて元気もなくて何にもないけどホッとしたい人たちを支援してきた側みんなの不安です。地味でも雑魚でも、私は1年の半分を家庭裁判所で過ごすくらいの事件数をこなしてきたから、今、本気のつぶやきをしています。

  本当の言葉は必ず人を動かします。関心がない人にも伝えて下さい。どうしようもない国だけど、その分優しい人も多いから。 

 共同親権推進派がどれほど危険かを身をもって知りたい人は、共同親権推進派のTwitterを見るのか1番早い。あの道路標識みたいなマークがついているツイートを遡ってみれば、どうして、配偶者が逃げなければいけなかったのか心が痛いほどに分かります。
 尊厳を傷つけられた人間が離婚したからと言って、加害者と手を繋ぐことができないのは被害者のわがままではありません。
2020/12/21